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「教えて下さい! あなたとゲーム」アンケート結果発表

 2023年8月3日から8月29日まで開催した市民コレクション「ゲーム機の変遷」にて、「教えて下さい!あなたとゲーム」と題したアンケートを行いました。
 ゲーム機の発展が現代人の世代間にどのような違いをもたらすのか、または変わらないものがあるのかを調査目的とし、ご回答いただく来館者の年齢を9才以下、10代、20代、30代、40代、50代、60才以上に分け、それらの世代の色シールを回答欄に貼っていただく形式をとりました。

開館日数74日間、総じて1,357票となりました!

誠にありがとうございます。質問と回答、考察を次にまとめました。


質問 1.初めてゲームで遊んだ年齢と、そのゲーム機の種類は?

 この質問の目的は、日本にゲームが登場し一大ブームとなった1970年代後半から、家庭用ゲーム機が登場し一般に普及した1980年代、さらには1990年代の次世代ゲーム機戦争などを経て、人々が最初に触れるゲーム機がどのように変遷していったかを明らかにすることです。

 初めてゲームで遊んだ年齢は、9才以前、10代、20代、30代、40才以降に分類しました。理由は、日本にゲーム機が登場した1970年代に40代だった方は現在80代、またその頃9才以下だった方は50代から60代となるからです。また、ゲーム機はアーケード、家庭用ゲーム機(ポータブル含む)、パソコンゲーム、携帯電話・スマホの4つに分類しました。回答数は430票です。

 まず、世代ごとに集計せずに総回答数から得られた結果をご覧ください。(n=430)

初めてゲーム機で遊んだ年齢は、圧倒的に9才以前が多く、70%となっています。次いで10~19才となりました(19%)。現代人は子どものころからゲームに親しんでいることがうかがえます。

次に、初めて遊んだゲーム機種です。(n=430)

家庭用ゲーム機が過半数を超えました。多くの方が自宅や個人でゲーム機を所持しているようです。

それでは、現在の世代別に集計した「初めて遊んだゲーム機と年齢の関係」グラフを見てみましょう。

40代から50代を境に、初めてゲームで遊んだ年齢とゲーム機に変化が見られます。40代以下は家庭用ゲーム機が多く、50代からはアーケードが増え、60代以上ではアーケードが優勢となっています。加えて、初めて遊んだ年齢も9才以前が50代から減り始め、60代以上では劣勢となっています。

ゲーム機普及の歴史を振り返ると、1978年から一大ブームを巻き起こしたアーケードゲーム「スペースインベーダー」を筆頭に、1980年代はアーケードゲームが若者たちのエンターテインメントとして定着します。また、家庭用ゲーム機の代名詞である「ファミリーコンピュータ」は1983年に発売されました。現在50代から60代以上が9才以下から20代であったころは、まさにゲーム機の歴史の黎明期であり、家庭用ゲーム機が普及する過渡期でもありました。そのような背景から、現在40代以下の世代とは大きな違いが現れたと考えられます。

 また、現在9才以下や10代のグラフからは、携帯電話・スマホの割合が増えていることが分かります。これには、2000年代に携帯電話のゲームアプリが登場し、2010年代からはスマホのゲームアプリがゲーム市場を席巻するようになった経緯が影響したものと考えられます。


問 2.今、一番遊ぶゲーム機の種類は?

 初めて遊んだゲーム機にはそれぞれ違いがありましたが、今現在遊ぶゲーム機はどうでしょうか? 世代別に伺いました。回答数は262票です。

10代以下は家庭用ゲーム機が優勢、20代以上からは携帯電話・スマホが優勢となります。家庭用ゲーム機に慣れ親しんだ20代以上の世代も、最も遊ぶゲーム機は携帯電話・スマホに変わっていることが分かります。


問 3.遊ぶ時間はどのくらい?

 このように身近なエンターテインメントとなったゲーム。ひとびとは一体どのくらいの時間を遊ぶのでしょうか?世代別にうかがいましたが、まずは総回答数から得られた結果をご覧ください。回答数は242票です。

頻度は毎日が過半数を超えました。時間は1時間以下が最多(34%)ですが、3時間以上も多い結果(19%)となりました。プレイヤー層の幅広さがうかがえます。次に世代別に集計した「遊ぶ頻度と時間の関係」のグラフです。

10代から30代はプレイ時間にばらつきが目立ちます。特に20代は、遊ぶ頻度が週2、3回や週1回などの頻度の少なさが目立つ一方、毎日3時間以上遊ぶ票も多いです。加えて、今は遊んでいない票も優位です。背景には、ライフステージの変化や、他のエンターテインメントの存在など、さまざまな理由があると推測します。


問 4.好きなゲームジャンルは?

 一口にゲームといっても、そのジャンルは多岐にわたります。問4では、好きなゲームジャンルを2つ選んでいただく質問をしました。回答数は自由記述欄を含めて423票です。

堂々の1位はロールプレイングです。幅広い年齢層から支持を集めており、特に30代と40代の層が厚いです。長年にわたり愛されているジャンルであることがうかがえます。

 2位はアクション。ロールプレイングと並んでゲーム文化の礎を築いたジャンルであり、こちらも幅広い年齢層からの支持を集めました。

 同率3位は、パズルとオープンワールドです。パズルは40代以上からの投票が全体の過半数を占めました。技術の進歩により、仮想空間を自由に探索できるオープンワールドは、主に10代を中心に若い世代に好まれています。

 1位から3位までの世代別内訳を見ると、より分かりやすいですね。

また、自由記述欄では下記の回答をいただきました。アーケードのメダルゲームや、各自でゲームを作成しオンラインで共有するシステムなど、ゲームの種類の幅広さに今一度驚かされます。ユーチューブが2票ありましたが、これについては何を意味しているのか判別できませんでした。

9才以下11票  あつ森(3票)、マイクラ(2票)、ロブロックス(2票)、スイッチスポーツ、スプラ3、マリオメーカー、じくう太鼓
10~19才21票 あつ森(6票)、ピクミン(3票)、パズドラZ、ニーア、ウォーターサンダー、ポケモン、ミートピア、プロセカ、ウィプレイ、マインクラフト、ユーチューブ、ブルアカ、モンスト、ロブロックス
20~29才5票  あつ森(4票)、パチンコ
30~39才 
40~49才5票  ホリアテール、デッドバイデイライト、ポケモンGO、忍者じゃじゃ丸くん、あつ森
50~59才2票  脳トレ、位置ゲー(GPS利用)
60才以上
※シール無しでユーチューブの記載が1

最後に、総票数の世代別内訳を集計したグラフです。

票数が最多となった世代は10代でした。Q3(現在のプレイ時間と頻度の問い)の回答も最多であることから、10代には現役プレイヤーが多いことが分かります。また、好きなゲームジャンルの自由記述においても、10代は最も記述が多かったため、ゲームに対する関心や好みが一段と深いことが分かりました。次いで票数の多かった世代は40代です。Q3ではプレイ時間が短く今は遊んでない票も多い40代ですが、ゲームに対する関心が強いことがうかがえます。これには、家庭用ゲーム機の普及が進んだ1980年代、シェア競争の激化や著しい技術の進歩を迎えた1990年代に、子ども時代を過ごしたことが大きく影響しているものと推測します。

たくさんの方にご参加いただいたおかげで、世代ごとの傾向が明らかとなり、ゲーム機の変遷とともに変化するゲームと現代人の関係性を考察することができました。技術や業界の進化に呼応するかのように、ゲームとひとびととの関わり方は常に移り変わっていきます。しかしその実態は、ゲームが身近なエンターテインメントであるために、改めて意識されることも少ないのではないでしょうか。コンピューターゲームの変容から、日常に埋没した生活のあり方や価値観の違いに目を向けてみることも、現代を知る一つの手がかりであると考えます。改めて、アンケートにご参加くださった皆さまにお礼を申し上げます。ありがとうございました。